導入事例インタビュー|レンタカー

離島・観光地に、省人化の EVトゥクトゥクを

専任スタッフを置かずに、お客様を迎える仕組みは こうして生まれた。

  • 0人:レンタカー専任スタッフ
  • 8-19時:安定して稼働できる
  • 多言語:インバウンド対応
瀬戸内アイランドクルーズ EVトゥクトゥク

導入の概要

お客様瀬戸内アイランドクルーズ株式会社様
インタビューにご協力いただいた方川口 修 様(代表取締役)
取材地豊島/Teshima Factory 前
導入製品スマートチェックイン for レンタカー Lite

瀬戸内海に浮かぶ、人口800人の小さな島・豊島。
「瀬戸内国際芸術祭」で世界中から人が集まる一方
フェリーを降りた観光客の前には、思いがけない"移動の壁"があった。

「足がないせいで、自由に回れない」
― そのお客様の声に向き合い
専任スタッフを置かずに365日のレンタル運営を実現した
瀬戸内アイランドクルーズ株式会社・川口修代表に
お話を伺った。

豊島の魅力と来訪者の"困りごと"

毎日のように聞こえてきた、観光客の小さなため息。

瀬戸内国際芸術祭の会場としても知られる豊島。世界中からアートを目当てに観光客が集まる。 だが、フェリーが着岸した瞬間、来訪者の多くが立ち止まる。「ここから、どうやって動けばいいのか」。

だが近年、訪日観光客の急増とともに、現場には新しい課題が押し寄せていた。

豊島・家浦港の風景
フェリーが着く豊島・家浦港。観光客はここから島内に散らばっていく。だが、その移動手段に課題があった。

インタビュアー

川口さん、本日はお時間いただきありがとうございます。

川口 様

こちらこそ、わざわざ島まで来てくださって。

インタビュアー

まず、豊島という島について教えていただけますか?

川口 様

豊島は瀬戸内海に浮かぶ、人口800人ほどの小さな島です。「瀬戸内国際芸術祭」の会場にもなっていて、世界中からアートを目当てに観光客がいらっしゃいます。

インタビュアー

観光地としては盛り上がっている。

川口 様

ええ。ただ、ずっと気になっていたことがあって…「降りた後の足がない」んです。

インタビュアー

移動手段が、ですか?

川口 様

そうなんです。豊島はそこそこ広い島で、見所が点在しているんですが、路線バスは本数が限られていて、レンタサイクルは坂道が多くてしんどい。

「せっかく来たのに、自由に回れなかった」というお声を、もう本当に毎日のように聞いていました。

「せっかく来たのに、自由に回れなかった」 ― それが、いちばん最初の原点でした。

― 川口 修 様(代表取締役)

なぜ"EVトゥクトゥク"だったのか

決め手は、観光体験ではなく「離島で運用できるかどうか」。

観光客の足になる移動手段は、自転車・電動キックボード・小型EV…と選択肢は多い。 その中で川口代表が選んだのは、三輪のEVトゥクトゥクだった。意外にも、決め手は「観光客が喜ぶから」ではなかった。

立地や規模を問わず、業界全体に広がる構造的な人材問題が、そこにある。

瀬戸内アイランドクルーズ EVトゥクトゥク
瀬戸内アイランドクルーズが運営する EVトゥクトゥク。電気で走る三輪車で、ガソリン不要・車検不要の運用性が選定の決め手となった。

インタビュアー

そこで思いついたのが、トゥクトゥクだったんですね。

川口 様

はい。観光客の足になるもので、絵にもなって、何より「運用が楽なもの」を探していました。

インタビュアー

楽なもの、というと?

川口 様

離島で車両を持つって、本土と違って大変なんですよ。ガソリンスタンドも限られ、整備工場もない。その点、電動のトゥクトゥクは充電するだけで走ります。ガソリンを入れに行く手間がない。

インタビュアー

車検も三輪だから無い?

川口 様

そうです。普通の自動車だと2年に1回の車検が必要で、これも離島だと本土まで持ち出す手間がかかる。メンテのハードルが下がるのは、離島で車両を多数管理するうえで重要でした。

インタビュアー

つまり、観光体験ではなく「運用コストが現実的」が決め手だった。

川口 様

両方ですが、現実的な決め手はメンテ性です。

観光体験で選んだのではなく、「離島で運用できるか」で選んだ。

― 川口 修 様(代表取締役)

立ちはだかった"専任担当の壁"

人がいないわけじゃない。"専任を置けない"のが問題だった。

意外なことに、瀬戸内アイランドクルーズには、すでに常駐スタッフがいる。 同じ建物でカフェレストラン「Teshima Factory」を運営しているからだ。問題は「レンタカー貸し出しの専任担当」を別に置けないという、構造的な制約だった。

「お客様には申し訳ないけど、お待たせするのが当たり前になっていました」。

Teshima Factory(カフェレストラン)
カフェのピーク時にレンタカー受付が重なると、両方とも回らなくなる ― 観光地ならではのジレンマだった。

インタビュアー

人がいないわけではないんですよね?

川口 様

同じ建物でカフェレストラン「Teshima Factory」を運営しているので、建物には常にカフェのスタッフがいます。

インタビュアー

では何が問題だったんですか?

川口 様

「レンタカー貸し出しの専任担当」を別に置くのが現実的じゃなかった。レンタカー業務は、予約照合・本人確認・契約サイン・決済・鍵渡し・操作説明・返却チェック・延長精算…と、思っている以上に手続きが多いんです。

インタビュアー

カフェの仕事と並行は厳しい。

川口 様

カフェのピーク時にレンタカー受付が重なると、両方とも回らなくなる。かと言って、レンタカー専任スタッフを1人立てると、人件費だけで採算が合わない。

インタビュアー

観光地特有の波がありますもんね。

川口 様

芸術祭の年は忙しいけれど、平時は1日数件のこともある。それで専任を雇い続けるのは無理なんです。「専任を置かなくても回る仕組み」が欲しかった。

完全無人ではなく、専任を置かない仕組みが必要だった。

― 川口 修 様(代表取締役)

「全部、省人化できないか?」

紙に書き出した、レンタカー業務の全工程。

ある日、川口代表は紙にレンタカー業務の全工程を書き出した。 予約・決済・本人確認・契約・鍵渡し・延長精算・返却・車両チェック。「この全部を、お客様自身で完結できないか」。そこから、新しい仕組みづくりが始まった。

利用時間、延長料金、営業時間外返却、ガソリン満タン返し、ETC… 曖昧にできない説明事項を、母国語で正しく届けるには、人間の英語では限界があった。

業務工程の書き出しメモ
紙とペンで書き出した、レンタカー業務の全工程。これが省人化設計のスタート地点となった。

インタビュアー

そこから、どう発想を切り替えたんですか?

川口 様

ある日ふと、「専任を置かずに、お客様自身で完結する仕組みにできないか」と思ったんです。

インタビュアー

完全無人じゃなくて、省人化。

川口 様

何かあればカフェのスタッフが対応できる。でも、通常の貸し出しはお客様が自分で進められる。紙にレンタカー業務の全工程を書き出しました ― 予約・事前決済・本人確認・契約・鍵渡し・延長差額決済・返却・車両チェック。

インタビュアー

これを全部、専任なしで。

川口 様

中でも譲れなかったのが、「延長になった時の差額決済」でした。観光って、予定通りには進まないんです。「もう少し回りたい」と延ばす方が多い。そこでカフェのレジに来てもらうと、結局スタッフの手を取ってしまう。お会計まで自分で完結してほしかった。

インタビュアー

で、この要件を全部満たすサービスは?

川口 様

無かったんです。探しても、無い。じゃあ、作ってもらえる人を探そう、と。

探しても、無い。じゃあ、作ってもらえる人を探そう、と

― 川口 修 様(代表取締役)

デバイスエージェンシーとの出会い

「他業態のスマートチェックイン」を見て、ピンと来た瞬間。

ここからが、両社の本格的なプロジェクトの始まりだった。予約・決済・本人確認まではスマートチェックインの土台でカバーできる。 問題は「お客様自身が安全に鍵を受け取る」ためのハードウェア。 AdvaNceDスマートチェックイン for レンタカー Liteとして、トゥクトゥクの運用に合わせた専用キーボックスの開発が始まった。

スマートチェックイン端末(Lite 筐体)
受付を機械化する仕組みは既に存在していた。問題は「レンタカー、しかも離島のトゥクトゥクに転用できるか」だった。

インタビュアー

デバイスエージェンシーには、どうやって辿り着いたんですか?

川口 様

たまたまデバイスエージェンシーさんのホームページを見ていて、「スマートチェックイン」というサービスを見つけたんです。

インタビュアー

もともとレンタカー向けじゃなかった?

川口 様

そうなんです。ホテルとか、別の業態で「受付を機械にできる仕組み」を作っている会社だなと。

インタビュアー

そこで、ピンと来た。

川口 様

「受付を機械にできるってことは、レンタカーの受付も、同じ理屈でいけるんじゃないか」と。完全に直感でした。

インタビュアー

最初の相談は、どんな感じでした?

川口 様

正直、半信半疑でした。「レンタカーは別の業態だし、しかも特殊なトゥクトゥクで、離島で」って、面倒くさい相談だろうなと。

インタビュアー

反応は?

川口 様

話を一通り聞いた担当の方が、「予約と決済の仕組みはうちにあります。問題はキーの受け渡しですよね。専用の筐体、新規で作りますよ」と。

予約と決済はうちにあります。専用の筐体、新規で作りますよ。

― 川口 修 様(代表取締役)

オリジナル筐体の開発の舞台裏

ハードとシステムを一体で設計してもらえた。

既製品ではなく、自社の業務に合った形へ。 「やりたいこと」をデバイスエージェンシーに伝えたところ、想定を超える応答が返ってきた。 ここからが、両社の本格的なプロジェクトの始まりだった。予約・決済・本人確認まではスマートチェックインの土台でカバーできる。 問題は「お客様自身が安全に鍵を受け取る」ためのハードウェア。トゥクトゥクの運用に合わせた、専用キーボックスの開発が始まった。

トゥクトゥク専用キーボックス(12スロット)
新規開発された、トゥクトゥク専用キーボックス。予約システムと連動し、お客様自身が QRコードや暗証番号で鍵を取り出せる。

インタビュアー

開発はスムーズに進みましたか?

川口 様

細かいやり取りは何度もありました。一番大事だったのは「予約とキーボックスの連動」の部分です。

インタビュアー

連動、というと。

川口 様

お客様がオンラインで予約して、決済して、本人確認まで終えると、そのお客様専用の鍵の取り出し権限が筐体側に発行されるんです。

インタビュアー

当日、お客様はその権限で鍵を取り出す。

川口 様

QRコードや暗証番号で、自分の予約に紐づいた鍵だけを取り出せる。他のお客様の鍵は触れない仕組みです。これで「カフェのスタッフが鍵を渡しに走る必要がない」運用が成立しました。

インタビュアー

ハードとシステムが分かれていないんですね。

川口 様

そこが大事でした。ハードだけ買って、システムは別、だと運用が破綻する。両方を一体で設計してもらえたのがありがたかった。

インタビュアー

既存サービスを買ったというより、一緒に作ったという感覚に近い。

川口 様

まさにそうです。「業務に合わせて仕組みを作ってくれた」感覚です。

業務に合わせて、仕組みを作ってくれた感覚です。

― 川口 修 様(代表取締役)

そして、省人化の運営が動き出した

"自分で進められる気軽さ" と "人がいる安心感" の両立。

専用筐体とスマートチェックインが組み合わさり、運営はついに動き出した。 画面の前で迷うことなく予約番号を入力し、QRコードで鍵を取り出して走り出していくお客様。カフェスタッフは、その様子を見守るだけ。

端末を操作するお客様
受付端末の前で、お客様自身が画面を操作する。スタッフが介入しなくても、貸し出しが完結する。

インタビュアー

開業してみて、運用は実際どうですか?

川口 様

想像以上にスムーズです。一番ありがたいのは、カフェ営業中にレンタカーの受付が入っても、カフェスタッフが手を止めなくて済むこと。

インタビュアー

お客様が自分で進めているから。

川口 様

受付端末の前で、お客様が画面を操作して、鍵を取り出して、走り出していく。スタッフは目視で「あ、出発したな」と見守るだけ。

インタビュアー

完全な無人ではない。

川口 様

そこ、実はすごく大事なポイントなんです。カフェのスタッフが同じ建物にいるので、お客様が画面で迷ったり不安に思ったら、すぐ声をかけてもらえる。「人はいる、ただ専任じゃない」という絶妙なバランスで運営できている。

インタビュアー

訪日のお客様も多いですか?

川口 様

多いです。芸術祭は海外比率が高い。でも全部、画面上で言語を切り替えられるので、こちらは何もしなくていい。むしろ「対面じゃないからこそ、海外のお客様が落ち着いて手続きできる」側面もあるようで。

インタビュアー

画面なら自分のペースで進められる。

川口 様

「省人化」って冷たく聞こえるかもしれませんが、画面で自走できる気軽さと、人がそばにいる安心感の両立ができている。これが、私たちが目指した運営の形でした。

自分で進められる気軽さと、困ったら聞ける安心感が両立していました。

― 川口 修 様(代表取締役)

同じ悩みの事業者の方へ

「人を増やせないから、諦める」前にできること。

取材も終盤。川口代表に、同じ悩みを抱える事業者へのメッセージを伺った。 専任を置けない、人を増やせない、でも新しい事業に挑戦したい ― そんな思いを抱える事業者にとって、この事例はひとつの希望になるはずだ。

インタビュアー

最後に、同じように「専任スタッフを置けなくて諦めかけている」事業者の方へ、メッセージをお願いできますか?

川口 様

……一言だけ。「人を増やせないから諦める時代じゃない」。

インタビュアー

具体的には?

川口 様

私たちのように、既にカフェなど別の事業があって、そこに人がいる。でも「もう一つ事業を増やすには、追加で専任を雇わなきゃ無理」と思っている方は多いはずです。

インタビュアー

そこに、仕組みで応える選択肢がある。

川口 様

「専任は置けない、でもこの事業をやりたい」と思ったら、まず相談してみる価値はあると思います。私たちも「無理だろう」と思っていたことが、相談してみたら数ヶ月で形になりました。

インタビュアー

ありがとうございました。

川口 様

こちらこそ。豊島でお待ちしています。

人を増やせないから、諦める時代じゃない。

― 川口 修 様(代表取締役)

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